強化ガラスに発生する自然破損のメカニズム
強化ガラスに発生する自然破損のメカニズム
強化ガラスが何の前触れもなく突然粉々に砕け散る自然破損(自爆)のメカニズムは、製造工程で原料中に不可避的に混入してしまう「硫化ニッケル」という目に見えない微細な異物の体積膨張にあり、強化ガラスは製造時に約700度まで加熱した後に空気を吹き付けて急冷することで表面に強い圧縮応力、内部に引張応力を持たせて強度を高めていますが、この急冷の際に硫化ニッケル粒子が高温状態のままガラス内部の引張応力層に閉じ込められてしまい、竣工後に直射日光などの熱や環境の変化に長期間さらされることで、この粒子が低温で安定する相へと時間をかけて転移し、その過程で体積が約4%も膨張するため、内側からガラスを押し広げる局所的な応力集中が発生し、この応力が限界を超えた瞬間に内部の強大な引張エネルギーが一気に全面へ解放されてガラス全体が瞬時に形状崩壊を起こすという、普通ガラスにはない特有の内部応力のバランス崩壊が原因となっています。
強化ガラスと合わせガラスの選択ポイント
強化ガラスと合わせガラスの選択ポイントは、使用環境に求められるのが「耐衝撃性と安全な割れ方」なのか、それとも「防犯性と破片の飛散防止」なのかという点にあり、強化ガラスは普通ガラスの約3〜5倍という圧倒的な面強度を持ち、万が一割れても角のない粒状になるため人を傷つけるリスクが低く、学校や商業施設といった人通りの多い場所の窓やドア、自動車のサイドウインドウ、スマートフォンの画面保護などに適している一方で、合わせガラスは2枚のガラスの間に強靭な樹脂製の中間膜を挟み込んで熱圧着しているため、衝撃でガラスが割れても破片が中間膜に強力に密着して周囲にほとんど飛び散らず、バールなどで叩いても簡単には貫通しない高い防犯性能や防災性能を持つことから、空き巣対策を施したい住宅の1階窓や、台風時の飛来物対策、さらには自動車のフロントガラスなどに最適であるという明確な機能差を理解して使い分ける必要があります。